下絵は一発勝負

ちょっと大袈裟だけど下絵はスポンジに 描いているようなものとお話しましたが、 素焼きに絵の具がスポンジのように染み込むからです。 一度染み込んだらやり直しはできません。 だから下絵は一発勝負なんです。 最後まで読んで下さりありがとうございます。

筆運び

呉須は素焼きに直接描くと前回 書きましたが、これがまた難しい・・・ 素焼きは水分を大変吸収しやすい状態なので 筆が素焼きにひきつけられてしまいます。 筆運びが思うようにいかず 初めての方が素焼きに描こうとすると 紙に描く感覚と全く違って困惑しま…

呉須(ごす)

呉須ってご存知ですか? 呉須というのは下絵といわれる 絵付け用の絵の具のことです。 釉薬の下に描かれているので 下絵なんですね。 素焼きの生地に筆などで描き、 その上に釉薬をかぶせます。 呉須はコバルトを多く含んでいて 焼き上がると藍色に発色しま…

オリベイズム

「オリベイズム」ってご存知ですか? 岐阜県では 「岐阜県では、このD部が持っている自由奔放、 独創性などの特徴・理念を「オリベイズム」と称し、 「オリベ」を岐阜県の産業・文化のブランドとして 世界に向けて情報を発信するとともに、 「オイベイズム」…

釉薬には灰、つまり物を燃やしたときに出る 残りカスである灰が使われます。 燃えカスといっても何でも良いわけではなくて ワラや樹木の灰です。 この灰はカルシウム、マグネシウム、鉄分など 様々な成分を含んでいて高温で化学変化を 起こし色を発色したり…

カオリン=カオリナイト

カオリンにはアルミニウムの酸化物である アルミナが多く含まれています。 カオリンは江西省の高嶺(カオリン)の地面に 由来していて、カオリン質の粘土が産出されます。 このカオリンを主体とする釉薬を使うと アルミナの影響により表面がマット質の 和食…

長石

長石は和食器のおいて 表面のツルツルとしたガラス質の 基となる原料です。 釉薬の原料として用いられていて 昨日の分類のとおり 志野という名称の釉薬を 使った和食器や透明釉にも 多く含まれています。 最後まで読んでくださりありがとうございます。 *ブ…

釉薬の質感による分類

釉薬は焼き上がった際の質感の微妙な違いや 表現できる色があまりの多く 正確に分類することはできません。 でも大まかに分類することはできます。 質感による分類は4系統 ・マット系(セミマット系) ・つや系 ・乳濁色系 ・貫入系(表面にひびが入る釉薬)…

組成による釉薬の分類

釉薬の分類の仕方として 質感の他に釉薬に含まれる 鉱物の組成による分類が 考えられます。 鉱物の組成による分類は次の通りです。 ・長石釉(質)系 志野や貫入といった釉薬を施した和食器が当てはまります。 ・灰釉(質)系(ワラ灰・土灰<木灰>) 黄瀬…

世界一使われている釉薬

釉薬(ゆうやく)というのは和食器などを コーティングしているガラスのような ツルツルしているものだったり 質感がマット質のものであったりします。 その釉薬のなかで最も使われる頻度が高いのは 透明釉です。 言い切りましたが統計があるわけではありま…

マイクロ波焼成窯の価格

先日紹介しました マイクロ波焼成窯(電子レンジ窯)と ハイブリッド窯。 そのお値段は・・・・・ マイクロ波焼成窯(電子レンジ窯)が およそ120万円!! ハイブリッド窯が1千万円!!! 一般的なガスや電気の窯が 60cm立法の容量のもので およそ30万円〜40…

酸化焼成

「酸化」は「還元」と違い 一酸化炭素COを発生させないように 十分な空気を送り込んで焼成します。 釉薬が一酸化炭素とほとんど反応しないため 安定した色を発色させることができます。 空気を沢山取り込んで焼くため ガスや重油などの燃料を使って 酸素を消…

陶磁器の焼き方

陶磁器の焼き方には「酸化」と「還元」が あることは以前にもお話しましたが もう少し詳しくお話しますね。 「還元」という焼き方は窯の中に 入る空気の量を出来るだけ遮断し またガスなど燃料を燃やす事で 窯の中の酸素を消費させ 不完全燃焼を起こさせるよ…

ハイブリッド窯

ハイブリッドと聞くと トヨタのプリウスや ホンダのインサイトが 思い浮かびますが 陶磁器を焼く窯にも ハイブリッドがあるんです。 この窯は電気とガスの ハイブリッドです。 先に紹介したマイクロ波焼成窯(電子レンジ)に ガスを加えたものです。 このハ…

電子レンジ?

陶芸の窯の燃料というと ガスや電気が一般的ですが 実は電子レンジもあるんですね〜 マイクロ波焼成というんですが 要は電子レンジです。 電子レンジで陶器が焼けるなんて 陶器業界の製造技術も 日々進歩しているのですね。 最後まで読んでくださりありがと…

白磁の欠片

まだ日本で青磁や白磁と言った器が 作れるようになる前 中国大陸から渡ってくる 青磁や白磁の器は大変貴重のもので その欠片でさえ大切にされていました。 その証拠に岐阜県関市の重武遺跡という 平安末期の墓跡からは中国白磁の欠片が 出土しています。 こ…

陶磁器産地の隆盛

現代では日本各地に 陶磁器の産地があって それぞれの個性を生かしつつ もの造りをしているので ある意味共生しているとも いえますが、 昔は時代の変化に応じて 産地の隆盛は大きく左右 されていたようです。 瀬戸では鎌倉武士や寺社などを 中心に瀬戸に出…

美濃地方の陶器生産の歴史は 古窯跡が沢山あることからも よく分かります。 奈良時代半ばから室町初期まで 盛んに生産されていた古窯は 岐阜県中津川市の中津川古窯跡群 多治見・土岐市の美濃古窯跡群 美濃須衛古窯跡群 愛知県瀬戸市の瀬戸古窯跡群などが あ…

須恵器と陶器の違い

土器と陶器の違いは先にも書きましたが 須恵器と陶器の違いは 釉薬を人の手で器に施しているか という点が上げられています。 須恵器では窯で焼いているときに 薪の灰が窯の中に舞い上がり器に付着して それが溶けて釉薬のような状態になります。 一方はじめ…

良質な土

須恵器は大阪堺市で盛んに 作られていましたが、 陶器の登場により奈良時代半ば からは衰退し始めます。 陶器は灰釉(灰を水に溶かした灰の釉薬)を施し 須恵器よりも高温の1200度以上で 焼かれます。 また高温で長時間の焼成に耐える 不純物の少ない花崗岩…

「美濃国」という刻印のある須恵器

岐阜市芥見老洞遺跡から「美濃国」と刻印された 須恵器の破片の出土されているそうです。 美濃国っていうのは岐阜県南部のことを指すのですが 「美濃」という名前がついたのは和銅元年(708年)の ことです。 国名を記した須恵器ってのは他に 例がないそうで…

縄文式土器

縄文式土器で多く出土されているのが 円錐をひっくり返したような 底のとがった土器だそうです。 底を尖らせたのは 焼くときに地面に突き刺して 土器を焼けるとか(当時は 土器を作る窯などなく 地面に生の土器を突き刺して 土器を覆うように穀物の殻 などを…

須恵器

日本書紀の雄略天皇七年(463年)に 「新漢陶部高貴」が日本に来たとかかれており これが朝鮮の百済から渡来した須恵器の 工人であったそうです。 須恵器とは窯を使って焼かれる土器のことで 今までの800度程度で野焼きされる土器と違い 窯により1000度以上…

弥生式土器

弥生式土器になると つぼ状の土器が出土してきます。 農耕が盛んになり 食料の貯蔵にも土器が使われます。 このころ男は狩や採集に出かけ 女が土器を作っていたそうです。 弥生時代末期には 組織的で大規模な稲作が始まり そこに権力が集中し豪族が誕生しま…

陶器と土器の違い

陶器と土器の違いは 陶器は窯で1000度以上の高温で焼くのに 対して、土器は800度程度の低温で 焼かれていて、脆かったり 水が漏れ易かったりします。 窯を用いず直接外気に触れながら 焼くので保温が出来ず、 温度が一定以上上がらないんですね。 極端な話、…

現代とは違うイメージ

古田織部は現代では「織部」と言われる 器を考案した人物あるいは茶人として 知られていますが、 現代ではまるで織部が陶芸家のように 「織部」の器を作り上げたようにも 聞こえます。 でも実際には知識人であり 芸術家であり、優れたプロデューサー でもあ…

織部の死

1615年織部と長男重嗣は 徳川より豊臣との内通の嫌疑を 掛けられ切腹に追いやられる。 最後に織部は 「かくなる上は入組に難き故 さしたる申し開きもなし」と 一切の弁解もせず自刃したそうです。 古田家の不運はこれに留まらず 次男、三男ともに父と兄の後…

古田織部と美濃焼

愛知県瀬戸市や岐阜県東濃地方を 中心とする地域の焼き物は 古田織部と共に成長しました。 安土桃山時代に信長、織部の 保護を受け、また織部の茶の湯と デザイン指導によるプロデュースで 美濃焼の評価は最大に高まりました。 しかし1616年九州有田において…

織部好み

「織部好み」とは古田織部が デザイン・監修した茶道具や 造園、茶室などのことをいいます。 安土桃山時代にこの「織部好み」 が流行し、美濃焼もこれと あわせて流行することになります。 織部好みの内、焼き物に関して言えば 器の一部に緑の釉薬を掛け そ…

織部誕生

織部誕生と言っても古田織部が 誕生したことではなくて 織部が指導し作らせた 焼き物の誕生のことです。 1585年織部は信長にならってか 瀬戸十作を選定していますので 陶工たちのとの親交が深かった ことが分かります。 織部と称される焼き物がいつ 生まれた…